入試分析
早稲田大学高等学院中学部
2025年度

早稲田大学高等学院中学部
(合判模試偏差値 72)
所在地:東京都練馬区上石神井
調査書・報告書の有無:有
面接の有無:有(受験生のみ・グループ)
予想合格最低点 250点/360点
早稲田大学建学の精神「学問の独立を全うし 学問の活用を効し 模範国民を造就する」に基づき、中等教育の基礎の上に高等学院、大学各学部へつながる前期中等教育を施す男子校。健やかな心身、高い知性、豊な感性を育み、社会に有為な人材を育成することを目的としている。また、中学部は早稲田大学の唯一の付属校として、早稲田大学の中核を形づくる意識を持った「早稲田人(ワセダマン)」を育成する。中学は1クラス30人の少人数編成で4クラスのみ。高入生も多く、高校からは1学年12クラスとなる。
2025年度入試情報
過去7年間の実質倍率(1次試験のみ)
国語
2025年度入試分析
制限時間は50分では配点100点である。入試形式は概ね例年通りであるといえるが、一部斬新な入試問題形式が取り入れられていることから、従来の入試対策のみでは太刀打ちできない、という印象が否めない。大問一に関しては、説明文というよりももはや、評論文的な読みを中学側が求めていることから、かなりの語彙力を磨く必要性が求められる。受験生の諸君達には、文章の終わりにある注の使い方をマスターし、少しでも“効率的”な文章Readingの手法を知ってほしいものである。従来であれば、中学・高校あたりで知っていくような国語のReadingスキルが、前段階の中学受験で前倒し的に「うちの中学に入学して早稲田の‟看板学部“進学を進めていくならば、注の使い方や指示語の指す内容を今の段階でできるよね?当然だよね?」と要確認されているようなものである。
その一方で大問二の物語文は、“少々癖のある”程度の文章であり従来と比べても差ほど難易度に差が見られないことから、受験生の合否を左右するのは、大問一の読解処理能力ないし情報処理能力にかかっているといえるだろう。
受験生の諸君等にとっては周知のことだが、早稲田高等学院中学部は、早稲田大学に進学することを前提に6年間のスパルタ教育に耐えねばならない。スパルタ教育を乗り越えた後には、早稲田の看板学部である政治経済学部、法学部、理工学部への進学がほぼ保障されているともいえるからだ。他の付属校と異なり、高等学院進級時には第二外国語の履修が義務付けられており、それゆえ中学部の生徒にですら、かなり高度な国語読解力・速度力の両方を求めている。将来的に早稲田の看板学部に進みたい!という積極的な想いを抱いているのであれば、早稲田大学高等学院中学部の難解な国語問題と真摯(真面目)に向き合い入試を突破していこうではないか!!
設問ごとの難易度
2025年注目問題
合格のために
早稲田高等学院中学部に合格するためには、❶ 主に説明文や評論的要素の強いものを中心にジャンルの偏りが無いように満遍なく本を読み漁り、❷ 国語の基礎知識を定着させ、❸中学受験専用のテキスト1,2冊を完遂させ(正答率80%以上になっていることが前提)、❹3年分~8年分の過去問を解き、❺その後に過去問の丁寧な分析を行い(解き直しを含め)、❻ 苦手な問題形式への対処法を身に着けていく作業が必要になる。
早稲田高等学院中学部は、他の附属校と比べ入学後の訪れる英語教育の過酷さは有名である。先に記述した話と重複するが、高等学院進級後は、第二外国語の履修が義務づけられている。そのため受験生の諸君等は、第一外国語である英語の語彙・読解力を中学三年間で大学入試レベルの問題をスラスラ解けるレベルにまでUPさせねばならない、ということを十分に念頭に入れた上で、中学受験に挑んでもらいたい。
算数
2025年度入試分析
問題数は例年大問4題程度の出題で、大問1番は計算と小問集合、大問2番以降が単元別の問題となっています。大問2以降は応用問題となり難易度がぐっと上がります。(計算応用小問1題(5問)・応用問題3題(9問)トータル15問)頻出分野として図形問題の比率が高く、速さ・数・規則性・場合の数問題がよく出題され、算数は、図形・速さ・数の問題が頻出です。図形の移動、回転体、立体の切断を絡めた求積問題などの図形や数の問題を中心に、思考力を要する難しい問題が出題されます。特に立体図形は国内でも最高難易度といえます。大問の一部に解法を書く欄がありますので、式・やり方が採点官に伝わるように答案作成能力の養成が不可欠となります。
具体的な内容や難易度について、例年大問1は計算問題で、大問2以降は応用問題となり難易度がかなり高くなります。図形の移動、回転体、立体の切断を絡めた求積問題、グラフを利用される問題、調べ・推理条件整理と規則性などの融合問題などが頻出です。思考力以外の技術系については、図形の出題に特徴があり、特に立体図形は国内でも最高クラスの難易度に匹敵します。
2025年の出題傾向について概観すると大問1は解きやすくはないものの、答えは簡単に出せるものばかりです。 (1)①の計算は約分してから考えれば平易で②は通常の問題。(2)は割合と複利計算 (3)DMを補助線でつなぎ三角形AMDは二等辺三角形であることを利用できます。合格するためには頑張りたい問題です。大問1の正確さや精度は合否を分けると思われます。大問2は早稲田系列によく見かけるカプレカ数(4桁は6174、3桁は495は覚えておいた方がいい)の算出の手順を知っていればある程度対応できるのではないかと思われます。このような思考系操作を含んだ問題を苦手とする受験生も多く、差がつきやすい傾向があります。大問3速さと比の問題と平面図形の面積比の融合問題に気づけたかがカギとなります。ただ作業量を考えると(1)(2)までで(3)は見送ってもよいかもしれません。大問4は設定を読み解くのですら大変な問題。(1)は状況が分かれば平易に計算できます。(2)①は立体Pの表面積が432㎠より側面積の正方形の対角線は12㎝であることから判定でき、②の12㎝45°方向に平行移動したときの通過領域の立体Qが的確に描けるかがポイント。③は点ABの位置設定により移動後の点Cの位置が変動する可能性があり、且つ点Cの最も近い点が不明瞭であるため問題で問われた意図や条件を的確に把握して丁寧に作業する力が求められるため、正解者は少なかったのではないかと思います。
設問ごとの難易度
2025年注目問題
合格のために
早稲田高等学院中学部に合格するためには、❶ 主に説明文や評論的要素の強いものを中心にジャンルの偏りが無いように満遍なく本を読み漁り、❷ 国語の基礎知識を定着させ、❸中学受験専用のテキスト1,2冊を完遂させ (正答率80%以上になっていることが前提)、❹3年分~8年分の過去問を解き、❺その後に過去問の丁寧な分析を行い(解き直しを含め)、❻ 苦手な問題形式への対処法を身に着けていく作業が必要になる。
早稲田高等学院中学部は、他の附属校と比べ入学後の訪れる英語教育の過酷さは有名である。先に記述した話と重複するが、高等学院進級後は、第二外国語の履修が義務づけられている。そのため受験生の諸君等は、第一外国語である英語の語彙・読解力を中学三年間で大学入試レベルの問題をスラスラ解けるレベルにまでUPさせねばならない、ということを十分に念頭に入れた上で、中学受験に挑んでもらいたい。
社会
2025年度入試分析
大問5、小問38で、難易度は例年並みです。構成としても、大問順に、<グラフ・データ>→<国土>→<古代〜江戸>→<明治〜戦後>→<公民>と並ぶ、例年通りの分かりやすいものです。小問のちょうど半数が歴史である点も変わりません。が、配点(推定)でみると、80点のうち地理28、歴史33、公民19なので、地理にも相応のウェイトがあります。時事関連の設問が4つあるものの、「トランプ」以外は基礎知識と推論だけでも対応できます。
全体のレベルとしては、教科書の基本事項はすべて漢字で書けて当たり前、実質的に「それ以上の知識の広さと深さ」で選抜される、という認識が妥当です。約半数の小問で、用語記入が求められます。ほとんどは基本事項ですが、それらを全問正解するのはあくまで最低ラインです。そのうえで、知識の広さとして、「豊岡盆地」や「二条河原の落書」を書けるかどうか。日本地図や歴史資料を日常的に見ていれば対応できますが、頻出問題を機械的に解くような勉強しかしていなければ無理でしょう。それから、知識の深さとして、(主に選択問題で)「知らないこと」を推論できるかどうかと、「知っていること」の解像度が高いかどうか。例年、記述問題が3問ほど出ます。テーマはごく基本的なものです。が、「惣村を基盤にして始まった人々の新しい行動がどのようなものか、事例を挙げて書け」という具合なので、一揆の名前と場所だけが分かる程度の解像度では、何もできません。制限時間40分、解答数51なので、記述問題で悩む余裕もありません。
総じて、高度な教養教育についてこられる学生をクラシックな基準で選抜していると言えます。「基礎を全てソラで覚える、それを足場に知識の網の目を張る、そのなかで推論の道筋を見つける」という勉強が自主的にできるかどうかです。それができていれば、過去問演習を通じて(個別の難問の答えではなく)「このあたりで差がつく」という勘所を自分で掴めるはずです。
設問ごとの難易度
2025年注目問題
合格のために
何より、上述した勉強の姿勢を身につけることです。そうでないと、過去問を解いても、多くがマニアックな問題に見えるだけでしょう。基本事項をしっかり書いて覚えたうえで、プラスアルファで求められているレベルを認識しなければなりません。なお、大隈重信に関わるラッキー問題がひとつ出るので(今回は立憲改進党)、これはこれで対策しておきましょう。
理科
2025年度入試分析
試験時間40分、大問4問。地学・化学・物理・生物から大問1問ずつ出題される形式は例年通りです。これまで早稲田系の中ではオーソドックスな出題で高得点勝負の傾向がありましたが、今年度に関しては他の系列校のような、分析力や思考力を問う形式、原理の理解を試す形式に移行し始めたという印象があります。特に大問4では、早稲田系でいうと早稲田佐賀中によく見られる、高校で学習する範囲を予備知識つきで出題するタイプの問題が出現しました。
設問ごとの難易度
2025年注目問題
前年度と同じ形式の国土問題。(リード文は読みやすくなったものの)この大問が最も難しく時間もかかる。まずはA〜Eを、地図上の記号と対応させる必要があるが、ここは、平野・盆地の名前が分からずとも「但馬」や「槍ヶ岳」などのワードを拾って丁寧に処理したい。あとは分からないところに固執せず、早急に歴史・公民へ移るのがよい。そちらの方が簡単なので。
合格のために
単元の偏りのないバランスのとれた学習は言うまでもありませんが、日頃から当たり前に使っている知識、公式がどのようにして成り立っているのか、なぜそう言えるかといった疑問を常に持ち、それを自分で考えたり調べたり、先生に聞いたり、そういった積極的な行動の積み重ねを1年続けられた人が合格を勝ち取ることができるでしょう。日頃の学習に真剣に向き合っている限り無駄なことは一切ありません。