【中学受験の疑問】なぜ難関進学校の入試は難しいのか?

こんにちは。中学受験カウンセラー野田英夫です。

中学受験の準備をしていると、
多くの保護者の方がこのような疑問を抱きます。

「どうして、進学校の入試ってこんなに難しいの?」
「小学生に、こんな問題解けるようになるの?」

その気持ち、本当によくわかります。
実はそこには、進学校という学校の成り立ちや役割が、深く関係しているんです。

今回は、「難関進学校の入試問題がなぜ難しいのか」について、
背景や理由をじっくりひも解いていきたいと思います。

進学校は大学合格実績がすべて

まず大前提として、いわゆる「進学校」には、大学の付属系列が存在しません。
つまり、6年後には大学受験をすることが前提の学校です。

では、そういった進学校が何によって評価されるのか?
それはただひとつ―
「何人の生徒を、どれだけ難関大学に合格させたか」という実績です。

東大、京大、一橋、東工大、そして早慶。
そういった難関大学への合格実績こそが、進学校の生命線なのです。

そして、合格実績が上がれば上がるほど、その学校の人気が上がります。
人気が上がれば、さらに優秀な小学生が集まります。
そうやって学校のブランド価値は高まっていくのです。

だから、中学入試の時点で生徒を「選抜」する

当然ながら、6年後に東大や早慶に合格できるだけの素地を持つ子を集めたい―
それが進学校の本音です。

ですから、中学入試の段階で非常に高いレベルの問題を出すことになります。
単なる知識や暗記では太刀打ちできない、
論理的思考力や表現力を問う問題が中心になるのです。

これは、進学校が「大学受験で結果を出せる生徒」を見極める、
いわば最初のふるいとも言えます。

この傾向は、使用している教材にも表れています。
四谷大塚の「予習シリーズ」など、中学受験のバイブルとも言えるテキストは、
その多くが、難関進学校向けに作られた内容です。

つまり、いまの中学受験市場そのものが、
進学校を目指す子を基準に設計されているという現実があるのです。

では、大学付属校はどうか?

一方、私たちが専門としている「大学付属校」の考え方は、まったく異なります。

付属校には、すでに系列の大学が存在します。
6
年後に大学受験をすることを前提としていない学校も多く、
それゆえに「大学受験での結果」をもとに生徒を選別する必要がありません。

その代わりに重視されるのは、
協調性や人間性、学校生活への適応力など、より多面的な資質です。

たとえば、慶應や早稲田の付属校では、
この子は6年間を通して、社会性やバランス感覚を育てられるか
といった観点から生徒を見ている節があります。

したがって、入試問題も極端に難しいわけではありません。
むしろ、「思考の過程」や「表現力」「興味関心」といった部分が重視されるのです。

うちの子に合った進路を選ぶために

ここまで読んでくださったお母さま、ぜひこう考えてみてください。

難関進学校が悪い、付属校が良い――という話ではありません。
大切なのは、お子さんに合った進路を選ぶことです。

プレッシャーに強く、自走できる子は、
進学校という道が向いているかもしれません。

一方で、精神的な成熟や、自分らしく学ぶことを大切にしたい子には、
付属校の方が伸びやすい環境である可能性があります。

「どこに入れるか」ではなく、
「どこで幸せに学べるか」
そんな視点で、進路を見つめてみてください。

最後に

私はこれまで、数多くのご家庭を中学受験の中でサポートしてきました。
中には、「偏差値ではなく、子どもの性格や将来像を大事にしたい」と言って、
あえて付属校を選び、結果的に本当に幸せな6年間を、いや大学と合わせて10年間を過ごした生徒もたくさんいます。

お子さんの未来は、偏差値だけでは決まりません。
どんな環境で、どんな大人と出会い、どんな時間を過ごすか――
それこそが、人生を大きく左右するのです。

では、また!

中学受験カウンセラー 野田英夫

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