【中学受験の疑問】なぜ中学受験ではいまだに集団指導塾が主流なのか?

皆さん、こんにちは
中学受験コンサルタントの野田英夫です。


「どうして中学受験の塾って、集団指導が主流なんだろう?」

そう疑問に思ったことはありませんか?

大学受験では映像授業や個別指導が浸透し、高校受験では個別指導塾が主流になっているにもかかわらず、中学受験ではいまだに集団指導塾が大きな存在感を持っています。

多様性や個性の時代にあって時代錯誤な気がします。

今回は、その理由と、集団指導塾が抱える問題点についてお話ししたいと思います。


【集団指導塾が主流である理由】

集団指導塾がこれほどまでに主流である背景には、塾を運営する側の「都合」が大きく関係しています。

1. 効率性とコストの優位性

集団指導は、1人の講師が複数の生徒に一斉に授業を行うため、非常に効率的です。
これにより、人員を抑えられ、人件費を抑えることもでき、個別指導に比べて授業料を安く設定できます。
塾の運営側からすれば、一度に多くの生徒に授業を提供できる集団指導は、ビジネスとして非常に合理的です。

2. 輝かしい「合格実績」

大手集団塾の最大の武器は、広告に大きく掲載される輝かしい合格実績です。
多くの塾は、ごく一部の優秀生に焦点を当て、彼らが難関校に合格することで塾のブランド力を高めています。
保護者はその実績に魅了され、「うちの子もこの塾に入れれば、難関校に合格できるかもしれない」と期待を抱いて入塾させるのです。

3. 「競争」によるモチベーション

集団指導では、常に生徒間で競争が生まれます。
ライバルの存在が、子どもたちの学習意欲を高める要因となることもありますが、塾側は、この競争原理を利用して、生徒をクラスアップや成績向上に駆り立てます。
この競争により、子どもたちだけでなく、保護者も過度な競争原理に巻き込まれることになります。


【集団指導塾が抱える問題点】

しかし、このような集団指導塾の仕組みは、多くの生徒、特に大多数を占める「普通の子」にとっては問題となりがちです。

1. 授業についていけない生徒が“8割”

集団指導の授業は、上位2割の優秀生に難易度を合わせて進められます。
これは、合格実績を出す優秀生を辞めさせないためであり、結果として残りの“8割”の生徒は授業内容を十分に理解できないまま置いていかれることになります。
この状況を補うために、親が家庭でフォローする「親塾」が必要となり、親子関係の悪化や親のストレスにつながります。
また、それを回避するために補習のための個別指導塾を併用しますが、保護者の経済的負担は上昇することになります。

2. 非効率な「積み上げ式学習」

集団指導塾のカリキュラムは、中学受験に必要な単元をまんべんなく網羅する「積み上げ式学習」が中心です。
しかし、入試ではすべての単元が出題されるわけではありません。志望校の出題傾向を無視した学習は非常に非効率であり、多くの生徒はゴール(合格)が見えないまま勉強を続けることになります。
いわゆる集団指導塾においては志望校対策はできないと考えておいた方がいいでしょう。

3. 「塾のための勉強」になってしまう

クラスアップや塾の成績向上を目標にすることに躍起になり、本来の目的である「志望校合格」がすり替えられてしまう家庭が多く存在します。
塾の成績は塾内での評価に過ぎず、志望校の入試問題が解ける力とは直結しないにもかかわらず、塾の成績を上げるために高額な個別指導を併用する「課金ゲーム」に陥ってしまうのです。


【まとめ】

中学受験でいまだ集団指導塾が主流であるのは、その効率的な運営体制と、保護者の「合格実績」への期待が大きいからです。
しかし、その裏では、多くの生徒が授業についていけず、非効率な学習に苦しみ、本来の目的を見失っているという現実があります。

塾選びに悩んだ際は、塾のブランド力や合格実績だけでなく、お子さんに合った学習スタイルで、志望校合格というゴールから逆算して指導してくれる塾なのかを、見極めることが大切です。

最後までお読みいただき、ありがとうございました。
では、また!
中学受験コンサルタントの野田英夫でした。

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