【中学受験の疑問】なぜ偏差値ばかりを追いかけてしまうのか?
皆さん、こんにちは。
中学受験に維新を起こす男
中学受験コンサルタントの野田英夫です。
今回は、中学受験家庭がよく陥る、「なぜ偏差値ばかりを追いかけてしまうのか?」
これについて、その心理と構造的な問題点についてお話しします。
1. 目的と手段の混同
偏差値は単なる「手段」に過ぎない
多くの中学受験保護者は、いつの間にか「目的」と「手段」を混同しています。
手段(偏差値):塾や模試の偏差値、クラス順位は、お子さんの現状の学力を測るあくまでも「手段」であって、相対的な位置を示す指標でしかありません。
目的(合格と成長):本来の「目的」は、志望校に合格し、その学校で充実した6年間を過ごし、幸せな未来を切り開くことです。
しかし、偏差値が上がると周りからの評価も上がり、不安が一時的に解消されるため、多くの親御さんは安心し、「偏差値を上げること」を最終的な目的にした受験勉強をさせてしまうのです。
2. 大手集団塾の「ヒエラルキー」の悪影響
この偏差値信仰を強めているのが、大手集団塾のクラス制度(ヒエラルキー)です。
競争原理の強化: 大手塾は、クラスの上下移動を激しくすることで、生徒間の競争心、そして親御さんの焦りや優越感を煽ります。この競争原理こそが、塾の成績を上げる原動力となっています。
以前のブログ(「なぜSNSは優秀生ばかりなのか?“キラキラ”の裏側と現実との向き合い方」)でも書きましたが、SNSでは優越感に浸りたい方々で溢れています。
不必要なストレス: 親御さんは「上のクラスにいることが合格が証である」と信じ、過剰なプレッシャーをお子さんにかけてしまいます。その結果、子どもは「クラス維持」という手段に縛られ、学ぶこと自体が苦痛になり、自己肯定感を下げてしまうのです。
不合格のリスク: クラス順位が上がっても、それが志望校の出題傾向に合致した実力でなければ、入試本番では通用しません。塾のテストや模擬試験で高成績が取れても、志望校の過去問対策が不十分であれば、偏差値が届いていても不合格になる受験生は多くいます。
補足: ちなみに「80%偏差値」を出していても約2割の受験生は不合格になっています。絶対はなく、「100%偏差値」ではないのです。
3. 志望校合格という「目的」を見失わないために
偏差値を追い求めることは、最終的に「志望校合格という目的」を見失うことです。そのためには、
ムダな努力の排除と戦略の徹底
- ムダな努力の蓄積を断つ:偏差値を上げるため、志望校の入試で出題されない難問(非効率な努力)に貴重な時間を浪費することをやめる。
- 戦略の放棄を避ける:志望校に特化した「逆算戦略」が必要な時期に、塾のカリキュラム(総合力)にしがみつくことは、合格への最適ルートを自ら放棄する行為です。
まとめ
志望校合格に必要なのは、塾の「クラス順位」でもなく、「高い偏差値」でもなく、本番で合格点を得点するための「入試問題への対応力」です。
一度冷静になって、集団塾のヒエラルキーから一度離れて、「目的」に立ち返ってみてください。そして、「非効率な努力」を手放し、「最適解」を探してみてください。それが、家族を幸せな受験に導く鍵となります。

