【中学受験の疑問】なぜSNSは優秀生ばかりなのか?“キラキラ”の裏側と現実との向き合い方
皆さん、こんにちは。
中学受験に維新を起こす男
中学受験コンサルタントの野田英夫です。
今回は、SNSで目にするのがなぜ優秀な生徒ばかりなのか、
「まわりはそんなにデキル子ばかりなの!?」
その情報のカラクリ、そしてその情報に触れることで私たちが陥る不安のメカニズム、そして現実との向き合い方についてお話ししたいと思います。
1. SNSが「優秀層」で溢れる理由「情報の偏りというワナ」
SNSで見かける中学受験に関する情報、特に模試の結果や合格報告は、なぜか輝かしいものばかりですよね。
この現象は、心理学でいう「生存者バイアス※」が大きく影響しています。
成功体験の共有
志望校への合格や模試での好成績といったポジティブな結果は、本人や家族にとって大きな喜びとなります。人は「成功したこと」は記録し、共有したくなる生き物です。
発信者の偏り
一方で、成績が伸び悩んでいる状況や、親子ケンカの苦しさ、受験からの撤退といったネガティブな情報を積極的に発信する人は、比較的少ない傾向にあります。
結果として、成績上位層の声がタイムラインで目立ちやすくなるのです。
つまり、SNS上の情報は、中学受験の実態のすべてを反映しているわけではないことを、まず理解しておくことが大切です。
2. 中学受験の現実的な学力分布
SNSの華やかな報告とは裏腹に、
実際の受験生の学力分布は、世の中の他のデータと同じように正規分布に近い形で広がっています。
偏差値50が平均
模試の偏差値は、受験生全体の平均点が偏差値50になるように算出されています。
つまり、受験生のうち約半数は偏差値50以下ということになります。
優秀層はごく一部
いわゆる「優秀層」と呼ばれる偏差値60以上は上位約16%、偏差値70以上となると上位約2%と、全体から見ればごく一部です。
SNSでは、このごく一部の上位層の声が大きく聞こえがちですが、実際には目標に向けて懸命に努力している平均的な学力層のご家庭が圧倒的多数なのです。
3. まとめ 大切なのは「情報戦」を勝ち抜く冷静さ
SNSは情報収集のツールとして有用ではありますが、そこで見聞きする情報がすべてではないということを理解しておくことが大切です。
画面の向こう側には、見えている以上に多様な状況の受験生とご家庭が存在しているのです。
現実の理解
「全落ち」という厳しい現実に直面する家庭も決して珍しくなく、志望校に合格できるのは3割程度というデータもあります。
戦略の徹底
親の役割は、SNSの華やかな情報に惑わされることではなく、お子さんの個性と目標を明確にして、合格を目指すことです。
中学受験は“情報戦”としての側面もありますが、一部の華やかな情報に振り回されず、
お子さんの成長と幸せに焦点を当てた受験を心がけてください。
最後までお読みいただきましてありがとうございました。
では、また!
中学受験に維新を起こす男
中学受験コンサルタントの野田英夫でした。
※「生存者バイアス」とは、ある特定の選抜過程や競争を「生き残った(=成功した)」人やデータのみに注目し、「脱落した(=失敗した)」人やデータを見落としてしまうことで、全体について誤った判断や結論を導いてしまう論理的な誤りのことです。統計学や認知心理学で用いられる用語です。

