【中学受験の疑問】 なぜウチの子は自分から勉強しないのか?
皆さん、こんにちは。
中学受験に維新を起こす男、
中学受験コンサルタントの野田英夫です。
今日は、中学受験の保護者であれば誰もが抱える
“最大の謎”についてお話しします。
■「どうして自分から勉強しないの?」
やり方は理解している。
宿題の大切さもわかっている。
テストで痛い目を見たこともある。
そして頭では、
「やらなきゃいけないことくらい、わかってる」
と本人も理解している。
それなのに——
動かない。
続かない。
気分しだいで変わる。
実はこの現象、
子どもだけではありません。
大人だって——
・健康のために運動したほうがいい
・もっと早く寝たほうがいい
・仕事の先延ばしは良くない
と“わかっている”のに動けないこと、山ほどあります。
つまり、
「理解しているのに行動できない」という矛盾は、人間共通の脳の特徴
なのです。
だからこそ今日のテーマは、
子どもを責めるのではなく、
脳の使い方を理解し、行動・習慣・主体性をどう育てるか。
ここを知るだけで、
叱る回数が減り、
家庭の空気が一気に変わります。
理解・行動・習慣は、それぞれ“別々の脳回路”が動かしているからです。
だから、「わかったならやりなさい」は通用しない。
むしろ、通用しないのが“普通”なのです。
■ ①「理解」をつくる脳 —— 知識回路
子どもが授業で「あ、わかった!」となるとき、
働いているのは次の回路です。
海馬(記憶の整理)
前頭前野(思考・理解)
頭頂葉(数・図形の処理)
ここまでは多くの子ができる。
でも—— 理解は行動には直結しません。
なぜなら、行動を動かすのは別の回路だからです。
■ ②「行動」を生み出す脳 —— 行動開始回路
行動の「最初の一歩」を作るのは、
大脳基底核の 行動開始回路。
ここは、
やる気の立ち上がり
行動の起動
優先順位の切り替え
を担います。
つまり、
どれだけ理解していても、
行動開始回路のスイッチが入らなければ、子どもは動かない。
“やればできるんだけど、やらない”
は脳科学的には自然な現象なのです。
■ ③「習慣」に変える脳 —— 習慣化回路
行動が一度できても、それが続くかどうかはまた別。
繰り返される行動を“自動化”するのは、
大脳基底核の中でも 線条体を中心とした習慣化回路です。
ここが動くことで、行動は
「努力してやる」 → 「当たり前にやる」
へと変わります。
さらに小脳が動作をスムーズにし、
“考えずにできる状態”を作ります。
■ ④ 行動回路と習慣回路は、
「同じ脳の中」でも別の回路
ここが最も重要なポイントです。
大脳基底核の中には、
行動を始める回路(行動開始回路)
行動を自動化する回路(習慣化回路)
という まったく別の神経回路 が存在します。
だから、
行動できるけど続かない
続けられるけど最初の一歩が遅い
という子が生まれるのです。
■ ⑤「主体性」はどこから生まれるのか?
主体性=「自分で決めて、自分で動く力」。
これは前頭前野の 自己決定回路 が関わります。
主体性は次の3ステップで育ちます。
STEP1:行動(行動開始回路が動く)
どれだけ小さくてもOK!
1問だけ
3分だけ
座るだけ
ここがすべての出発点。
STEP2:習慣(習慣化回路がパターン化する)
同じ行動を日々繰り返すことで、
脳が「これは自分の行動だ」と認識します。
努力しなくてもできる状態が生まれる。
STEP3:主体性(自己決定回路が働く)
習慣が安定すると、
「自分でできた」という感覚=自己効力感が強くなり、
自分で選択し、自分で動けるようになる。
主体性とは、
行動 → 習慣 → 自己決定
この3つの連動で “脳の中に生まれる現象” なのです。
■ ⑥ では、どう習慣化させればいいのか?
① 行動のハードルを極限まで下げる
行動開始回路は“最初の一歩”でしか動きません。
1問だけ
3分だけ
机に座るだけ
これで十分!
② 習慣化しやすい“きっかけ”を固定する
習慣化回路は 「決まったタイミング」 を好みます。
だから、学習は“生活の流れ”に紐づけるのが最強です。
早慶ゼロワンでは、この3つを徹底しています。
寝る前に「漢字・計算」を5分ずつ
朝起きてすぐ「漢字・計算」を5分ずつ
朝食後に「理社の暗記項目」を5分
時間も内容も「固定」することで、
脳は学習を “特別なこと”ではなく“日常の流れ” として認識し、
習慣化が一気に進みます。
③ 小さな達成感を積み上げる
習慣化と主体性の土台は「できた!」の積み重ね。
チェック表
スタンプ
見える化された目標
こうした小さな成功が、
“もっとやりたい”というドーパミンにつながります。
■ まとめ
子どもが自分から勉強しないのは、
やる気の問題でも、性格でもありません。
理解・行動・習慣が、脳の別々の回路で動いているから。
そして、
行動 → 習慣 → 自己決定
と回路が連動し始めたとき、
子どもは“主体的に学ぶ子”へと変わっていきます。
この仕組みを知っているご家庭は、
叱る回数が減り、
子どもは自然と動き始めます。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
では、また!
中学受験に維新を起こす男
中学受験コンサルタントの野田英夫でした。


