【中学受験の疑問】 なぜ、令和の今でも「集団指導」が主流なのか? その構造的な理由とリスク
皆さん、こんにちは。
中学受験に維新を起こす男
中学受験コンサルタントの野田英夫です。
今回は、多くの保護者の方が心のどこかで感じている「違和感」の正体についてお話しします。
世の中はこれほどまでに「個別最適化」が進んでいるのに、
なぜ中学受験の世界だけは、何十年も変わらず「集団一斉授業」が主流なのでしょうか?
今日は、その裏側にある構造的な理由と、
そこに潜むリスクについて、本音でお話しします。
中学受験の常識への違和感
中学受験の世界に足を踏み入れると、まず目にするのが「大手進学塾」の存在です。SAPIX、早稲田アカデミー、日能研、四谷大塚……。
多くの保護者様は、まずこれら「集団指導」の塾にお子さんを通わせることを第一選択肢として考えます。
しかし、冷静に考えてみてください。
Amazonなどのネット通販ですら、AIが「あなたへのおすすめ」を個別に提案してくれる時代です。
それなのに、なぜ最も個性が重要な「教育」の場である塾だけは、何十年も変わらず「全員に同じ授業」という古いスタイルのままなのでしょうか?
塾側の「ビジネスモデル」としての効率性
いきなり核心に触れますが、最大の理由は「効率」です。
ただし、それは生徒にとっての効率ではなく、塾運営にとっての効率です。
カリキュラムを統一し、一人の講師が数十人の生徒に対して一斉に知識を伝達する。これは、最もコストを抑えつつ、一定の品質を担保できるシステムです。
大手塾が持つ膨大なデータやテキストは、この「集団」を回すために最適化されています。
「カリキュラムについてこられれば、合格できる」
これは嘘ではありませんが、「ついてこられれば・・・」という大きな条件がつきます。
「競争こそが成長の源泉」という神話
もう一つの理由は、「競争環境」です。
「周りの子が頑張っているから、自分もやる」
「クラス落ちしたくないから頑張る」
この心理的プレッシャーをエンジンの燃料にするのが集団指導のスタイルです。
確かに、上位層(全体の約1〜2割)の「自走できる子」にとって、
この環境は素晴らしいものです。ライバルと切磋琢磨し、偏差値をゲームのように上げていくことができます。
しかし、残りの8割の子にとってはどうでしょうか?
「授業が進むのが早すぎて、理解する前に次の単元へ行く」
「質問したくてもできない」
「クラスの昇降に疲弊して、勉強自体が嫌いになる」
こういった副作用が無視できないほど多いのも事実です。
3. 「インプット」偏重の罠
集団授業の最大の役割は、知識の「インプット(導入)」です。
先生の解説を聞いて「なるほど、わかった!」と思わせるプロの技は、確かに素晴らしいものがあります。
しかし、テストで点数を取るために必要なのは「アウトプット(演習)」です。
「わかった(授業)」ことと、「できる(テスト)」ことは全く別次元の話です。
集団指導では、この「できるようになるまでのプロセス」は、
家庭学習(宿題)に丸投げされています。
「塾で習ったから、家でやっておいてね」というスタイルです。
ここで、親御さんがつきっきりで教えたり、
個別指導を併用したりする「課金ゲー」のような構造が生まれてしまうのです。
結論:主流だからといって、我が子に合うとは限らない
集団指導が悪いわけではありません。
そのシステムに見事にハマり、御三家に合格していく子も確かにいます。
しかし、もし今、お子さんが集団塾の中で「お客さん(ただ座っているだけの状態)」になっていると感じたり、毎週のクラス変動に心を痛めているのであれば、
一度立ち止まって考えてみてください。
「みんなが行っているから」は、思考停止のサインかもしれません。
令和の時代、学び方はもっと多様であっていいはずです。
「集団についていくこと」を目的にするのではなく、
「お子さんが確実に理解し、成長すること」を目的に、
指導スタイルを選び直す勇気も時には必要です。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
では、また!
中学受験に維新を起こす男
中学受験コンサルタントの野田英夫でした。

