【中学受験の疑問】偏差値の“真実”とは?「偏差値ってよくわからないけど、いまさら恥ずかしくて聞けなくて…」
皆さん、こんにちは
中学受験カウンセラー野田英夫です。
中学受験を考えるとき、必ず出てくる「偏差値」
でもその正体を正しく理解している人は、実は驚くほど少ないんです。
■ 偏差値は“順位を表すもの”
「偏差値 = 頭の良さ」 だと思っていませんか?
実は、偏差値とは「テストを受けた母集団の中での順位」を表す指標です。
例えば、模試を受けた人数が1万人だったとします。
・偏差値「50」:真ん中(5,000位前後)
・偏差値「60」:上位16%(1,600位前後)
・偏差値「70」:上位2.3%(230位前後)
数字そのものに意味があるのではなく、「そのテストを受けた中での位置づけ」を示しているに過ぎません。
■ 「偏差値60 = すごい」は本当か?
結論から言うと、場合によります。
偏差値60がすごいかどうかは、どの模試のどんな母集団での偏差値かによって大きく変わります。
全国の中学受験生が受ける大規模模試と、地域限定や少人数模試では、偏差値「60」の意味がまったく違ってきます。
大規模模試での偏差値「60」は全国1万人中の上位16%。
小規模模試では、全国レベルで偏差値「50」程度にしかならないこともあります。
さらに注意すべきは、 「どんな子がその模試を受けているか」 です。
■ 四大模試の特徴
□SAPIX・四谷大塚・日能研
・難関進学校を目指す首都圏の受験熱心な家庭の子が多い
・高い母集団の学力水準
・偏差値60でも全国上位に位置
□首都圏模試
・大学附属校や標準的な学校を志望する子が多い
・基本問題中心、母集団の学力分布は比較的広め
・偏差値60でも、四大模試とは全国レベルの意味が異なる
つまり、 「どの模試での偏差値か」、さらに「その模試の対象となる学校・母集団」 まで含めて判断することが重要です。
偏差値の数字そのものに安心せず、母集団・模試の種類・受験者層まで含めて、現状の位置と目標を正しく理解することが、中学受験では欠かせません。
■ 占有率という考え方
偏差値の“占有率”も見落とされがちです。
偏差値「60」以上:全体の約16%
偏差値「70」以上:わずか2〜3%
100人の受験生のうち、偏差値60を超える子は16人程度、偏差値70以上は2〜3人しかいません。
偏差値が高いほど、全体に占める人数はどんどん少なくなる――これが「占有率」の感覚です。
偏差値はあくまで相対評価です。
母集団のレベルが高ければ偏差値60でも全国上位に入ることがあります。
母集団のレベルが低ければ偏差値60でも全国では平均程度の位置に過ぎません。
そのため、指導や志望校選びで「偏差値60を目標に!」と安易に言うのは危険です。
母集団の現実を理解せずに数字だけ追うと、無理のある学習計画になりかねません。
偏差値の分布図や累積パーセンテージを頭に入れると理解しやすくなります。
・偏差値50:全体の50%がこのライン以下
・偏差値60:上位16%
・偏差値70:上位2〜3%
こうした占有率を意識すると、偏差値は数字だけでなく、 “子どもの立ち位置を知る指標” として活用できます。
■ よくある“偏差値の勘違い”
偏差値について、保護者の方がよく抱えている勘違いがあります。
中学受験で偏差値「60」なら、高校受験でも同じレベル?」
→ 実はまったく違います。中学受験では“全国の小学生の中でも特に優秀な層”が集まって受験をします。つまり、母集団の平均水準が高いので、中学受験の偏差値「60」の価値は高校受験よりもはるかに大きいのです。
偏差値が高い学校 = 良い学校
→ 偏差値はあくまでも人気と母集団による数値であって、学校の教育方針や校風の良し悪しを示すものではありません。子どもに合うかどうかは別問題です。
偏差値が高い学校 = 入試問題が難しい
→ 偏差値を押し上げているのは「問題の難しさ」ではなく「合格ラインの高さ」です。標準的な問題でもスピードや精度を問う形式で、得点差がつきやすいからこそ偏差値が上がる場合もあります。特に大学付属校については、偏差値と入試難易度は全く当てになりません。
■ 偏差値に振り回されないために
私はこれまで多くのご家庭を見てきましたが、偏差値の数字に一喜一憂するあまり、家庭内が不安定になるケースをたくさん見てきました。
大切なのは、
どの母集団での偏差値か?
受験している模試で志望校に必要な偏差値はどこか?
今の位置からどう成長していけるか?
この3つを冷静に見極めることです。
偏差値は「子どもの能力の絶対値」ではありません。
未来を閉ざす数字でもありません。
あくまで 現在地を知るための目安 にすぎないのです。
■ 最後にお伝えしたいこと
もしあなたが「偏差値」に悩んでいるとしたら、数字そのものではなく、数字の“意味”を一緒に考えてほしいと思います。
子どもの成長は、偏差値だけでは測れません。
その子の個性や伸びしろを見据えて、正しい受験戦略を立てていきましょう。そして、その未来は、思っている以上に近くまで来ています。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
では、また!
中学受験カウンセラー野田英夫でした。